Last Modified: 1998.04.10
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ROOM #024 COMMENT

土間付きボロアパート(作者からの詳しい解説)
 このたびはボクのデザインの部屋をダウンロードしようとしてくれてありがとうございます。
 とてもうれしいです。部屋のデザインを頼まれた時と同じぐらい嬉しい。
 感想や御意見あったらぜひメール下さい。homeから直接送れます。

 部屋をデザインする話をpostpetを作った八谷さんからいただき、いろいろ考えましたが、
(ジュラシック部屋/縄文ハウス/独房ルーム/ヘタウマ部屋/鉛筆デッサンモノクロ部屋など)最終的にこれが一番自分らしい、と思ってこうしました(根がビンボー)。
 モデルは、ボクがマンガを描き始めた22、3才の頃、相棒の泉晴紀が住んでいた、吉祥寺の御殿山の加藤アパート(四畳半風呂なしトイレ電話共同)です。
 ボクは当時実家に住んでいて、マンガの原作を作って泉くんの粗の部屋に来ていた。
 ドアが引き戸で、開けると玄関が見えるところもそのまんま。
 土間付き、というのは、土間って今すごい贅沢だと思ったから。もちろんこれはボクのツクリ。
 土間って、夏はひんやりして、だけど土のぬくもりもあって、家の中なのに外の要素が入り込んでいる。
 土間にはマーシャルのアンプと、七輪と、如雨露が置いてある。
 アンプは欲しいから。裏がポストになっているのだ。
 アンプにはギブソンのES-340というセミアコのエレキギターがたてかけてある。このギターはボクの実際の愛器。部屋の中の柱のところのウクレレも。これはRoiSakuma製。
 七輪は何か乾きものをあぶったり、お湯をわかしたり、鍋をやったり、手をあたためたり、友だちと語らうのに、いいんじゃないかと思って。コンパクトな日本の暖炉って気、しませんか。いまでは置くところがなくなってしまった気がします。土間さえあれば。火を見るのはいい。  如雨露は、土間の木戸をあけると、そこが小さな庭になっていることを暗示している。
 木の、いわゆる便所下駄もあるでしょ。
 実際、加藤アパートにも小さな庭的スペースがあった。時々近所の猫が入ってくる。
 土間の端に赤ワインと日本酒(熊吟醸)も置いてある。常温保存にも土間はよい。
 部屋の中は、まず万年コタツ。「夏はどうするんだ」という声も聞こえそうだけど、いいの。あんまり厚いふとんかけてないから、一年中これ。転がってるティッシュは「生活感」。恥ずかし。
 テレビがあって、ビデオデッキもあって、あとCDラジカセね。他のペットの部屋に、ない。気になっていた。音は欲しい。あと、どうしてもベッドのところには本やマンガを読むための明かりが欲しいじゃないですか。ね。
 ベッドは、よく見て下さい、ビールケースを6箱裏返して並べマットを乗せたもの。これ、実際友人が昔やってました。ペットが寝ると、掛け布団がずり上がるのでもう少し よくわかるんですよ。その有り様がまた可愛い、とのこと(ボクはまだ見てない)。ベッドの横の壁には、友人からもらった絵はがきが貼ってあり、なごむのだ。
 あと、インターネットを象徴するために(嘘)地球儀。置くところがないので本棚の上。
 カメラはボクは持ってないけどライカ。機種は不明。
 掛け軸は、「道草」。ボクの書。メールを持ってきたペットが、無意味に部屋でゴロゴロしていたり、メールを持っていったペットがなかなか帰ってこない ことから、この言葉を選んだ。
 高尾山のペナント。いわゆるダサもの。なんで買っちゃったんだろう中学生。
 かもいの上に、喫茶店のマッチが並べてあるというのもダサしぶい。やっちゃうヤツいるンだ。
 ブーメラン。一昨年初めて正式な飛ばし方を教わって、ちゃんと手許に帰ってくるようになった。
 ポスターは、1枚は泉昌之の「かっこいいスキヤキ」の表紙。
 もう一枚はボクの「動物の人達」という絵本(絶版)の表紙。この本好きなんだけどなー。
 トイレは縄文土器。おふろはビニールプール。
 ビニールプールって、夏の光の中で、すごく独特の匂いがするんだよねー。
 お風呂とトイレスペースは板の間になってる。フローリング、じゃなくて、板の間。
 パースが狂ってるんだけど、流しも手前に見えますね。あとアロエとゴムの鉢。緑欲しいし。
 あと、板の間部は、アトリエスペースでもあり、イーゼルに描きかけの絵がのってる。描いてある絵は、「ゾウフミ君」の肖像。細かいねー。ボクがQBBという名前で描いたマンガ「栄三=金星人説」(青林堂)の中に登場するキャラクターです。
 ちなみにそれは同じくQBB名で描いた「とうとうロボが来た!」(青林堂)にも「ゾウフミ君ホーン」として登場します。この2冊は自分でも気に入ってる本。
 それから、えーと、宝箱は茶箱です。これは昔ボクが自分のへやで、ちいさなテーブルのように使っていた。木でできていて、中に銀紙みたいなのが貼ってあった。
 窓はサッシじゃなくて古い、木のやつね。風でちょっとがたぴしいう。
 窓にさんが多いので外がちょっと見えにくいが、それも味。
 外はブロック塀越しにアスファルトの通学路。電信柱とマンホールのふたがちょっと見える。
 夜になると、電柱の下に明かりが。
 天井から緑の笠の白熱灯のが下がってるのも、他の部屋にない空間感覚を出したかったから、なんだ、実は。って自慢してるね、おれは。やな野郎。ごめん。なんつて。
 引き戸ののれんは、postpetのキャラクターデザイナー・いつもお洒落できれいな真鍋奈見江さんからのプレゼント。刺繍がほどこされ可愛くてダサくてステキ!
 天井のほうがすこーし暗くなってる、とか、畳が古くてちょっとやけてる、とか、襖の取っ手の周りが手あかでちょっと汚れてる、というあたりの細かいわざも、ボクのセンスをよーくわかってらっしゃる真鍋さんの技。感激しました。
 えーと、それからなんだっけ。そうそう、エキストラペットは「ハッパちゃん」。
 もちろんボクのオリジナルキャラクターです。これも「栄三=金星人説」にずばり「ハッパちゃん」という短編マンガがあります。風邪で寝てる坊やとハッパちゃんの話。 マンガの中でも、窓の外で芸をする。

 いやいや、長い文章、読んでくれてどうも。postpet lifeの世間話のネタになれば幸い。
 
 ボクはこの部屋をパーツごとにサインペンと色鉛筆などで描きました。それらをこういうふうに組み合わせてドアがあいたりするようにしたのが真鍋さんです。プログラマーは幸喜俊さん。そしてプロデューサーの八谷和彦さん、そしてso-netの担当小出ユリ子さんにはお世話になりました。この場を借りてありがとう。
 しかし、外国の人がこの部屋みたらどう思うだろう。

 さて、ここまで読んだ上で、「ニュー土間付きボロアパート」の解説を読んでいただくと、そのマイナーチェンジの面白さが楽しんでいただけると思う。
 よろしく!