Last Modified: 2019.01.26
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ORIGIN

ポストペットの構想
 ポストペットの原型は八谷和彦さんが見た夢であることは、数々のインタビューやトークショーで明らかにされており、現在でも「ほぼ日刊イトイ新聞」の第7回「ポスペをつくる前に、夢をみた。」で読むことができます。
■ 八谷和彦さんの発言(抜粋)

 で、ちょうどそのワールドシステムを終えた頃に、ポストペットの原型になる夢を見るんですけど。

 ぼく、いろんな問題の解決に夢をつかう(笑)。
 とりあえず行き詰まったら、とりあえず寝るんですよ。
 そうすると次の日の朝に、「あ、こうすればいいんじゃん」って。

 僕寝て、覚める頃にすごいいい解決を思いついたりとか。

 で、やっぱり95年の頃にインターネットを使いはじめて、はじめてメールとか使いはじめて、年末にワールドシステムですごい忙しかったこともあって、年賀状とかも当然準備していないから、みんなメールをつかっていれば、メールで年賀状を出せるのに、とか思ってて。

 年賀状って、つくるのけっこうめんどくさいじゃないですか。
 印刷するの、めんどくさいなあ、どうやったらグリーティングのメールになるかなあ、と思っていて、で、寝てたら、ある女の子なんですけど、知り合いの女の子からのメールをテディベアが運んできて、うちにもテディベアがいて、そこんちのテディベアとうちのテディベアがメールのお使いをしているうちに恋愛して、どうも子供ができたみたいだ、どうしよう、みたいな夢を見たんですよ。
 それを見たのが実は人の家に泊まっているときで、実際にはメールの送り主と別の女の子の家だったりするんですけど。

 この夢を見て「メガ日記」に書き込んだのが、1995年末か1996年頭だったとのこと。
 おそらく、この段階で「テディベアがメールを運ぶ」という部分が決定したのだと思われます。
メガ日記
この当時(1995年11月1日から1996年2月8日まで)に書かれたメガ日記は何度か公開されているようですが、PostPetの元ネタに関する記載は確認できていません。

ポストペットの発想
 ポストペットの大元の発想は「『ジョジョの奇妙な冒険』第4部(ダイヤモンドは砕けない)に登場するスタンド『ハーヴェスト』」からのものだと、八谷和彦さんが東京工芸大学でのゲスト講演の際に語っています。
 この『ジョジョの奇妙な冒険』に関する話は、2001年12月1日に発行された「月刊ポストペット 1月号」の開発者通信でも次のように伝えています。
■ 八谷和彦さんの発言(抜粋)

 そういえば、ポストペットにも「『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンドみたいなものを実現する」という視点があったわけで、最終的にはロボットのような「実体を持ったモノ」になってもおかしくはないんですよね。殴ったら、反撃されたりもするような。まあ、来年はないと思いますが、2010年くらいのポストペットはひょっとしたら、ロボットになっているかもしれません。その場合は、すごく小さなロボットがいいなぁ。5cmくらいのロボットとか。
 この「ハーヴェスト」というスタンド…というか「ジョジョの奇妙な冒険」を読んでいないので、ネット上で調べた結果、
・能力は「本体が欲しいと思った物品を街中から収集する」
・能力の本質は「目的の物品が持つ知性情報を無線信号のように受け取り、検知して収集する」
・本体の近くでハーヴェストを操作するときは、知覚も共有しながら、通常の遠隔操作型のように扱う
…らしいのですが、なんとなく分かったような、よく分からないような。
 おそらく、この発想で「ペットは飼い主の分身」「半自動的に収集活動という自立行動」という部分が実体化したのだと思われます。
ジョジョの奇妙な冒険
自称500体からなる、4本の腕を持つ小さな群体型スタンドです。
物を集める「収穫」が主な能力です。。

ポストペットの元ネタ
 その後、NIFTY-Serveの掲示板で、真鍋さんと浅野耕一郎さんを仲間にし、浅野さんから紹介されたプログラマーが幸喜さんだったとのこと。
 構想を具体化していくに当たって元ネタにしたのが、ファミコン通信(1991年7月26日号「はまり道」)に掲載された吉田戦車さんの「やらずにすむゲームはないか?」であり、1985年リリースのActivision「LITTLE COMPUTER PEOPLE」であると言われています。
■ 吉田戦車「はまり道」(ファミコン通信 1991年7月26日号)

やらずにすむゲーム
 なお、八谷和彦さんがいう「リトル・コンピュータ・ピープル」には、1985年リリースのActivision「LITTLE COMPUTER PEOPLE」と、1987年4月3日リリースのSQUARE「アップルタウン物語 - Little Computer People」の2つがあり、そのどちらを指していたのかを示すものがありませんでしたが、2015年5月18日に「女の子に変えるのはやりすぎだろ、と思ってPostPetでは動物にしたわけでした。」とTweetしていることから、Activision版を指していたことが判明します。
LITTLE COMPUTER PEOPLE
LITTLE COMPUTER PEOPLE
LITTLE COMPUTER PEOPLE

APPLE TOWN STORY
APPLE TOWN STORY
アップルタウン物語

ポストペットの開発言語
 ポストペットは、BolandのDelphiかC++Builderで作られていた。これは確かである。なにより挙動が“デルくさ”かったし(プログラマには匂いでわかるらしい)、リソースエディタでデータをブッコ抜くことができた。